オマハビーチ

 プライベートライアンのDVDを買ったので見たいと思った時気軽に見られるようになった。とても嬉しい。冒頭の“Dデイ”、オマハビーチでの戦闘は見るも惨たらしく決して面白いと言っていいものではないのだけれど、何度も見てしまう。

 

 今週末、土曜日はVデイである。戦勝記念日ではない。バレンタインデー。

 イベント事が苦手だ。それでもハロウィーンやクリスマスは強制参加イベントではない。というか友達がいないし家族と離れて住んでいるので、強制排除イベントとも言える。しかし、バレンタインデーは別だ。お歳暮に近いものがある。学生の身分で歳暮を送らなければならないことはないが、バレンタインデーは別だ。若い女はチョコを贈る、そういう慣習があるのだ。お正月とまではいかなくても、お盆に帰省するってくらいは定着していると思う。知らないけど。

 

 一昨年、バイト先はおじさんばかりだしみんな特に興味ないだろうと決め付けなにもしなかったら、3月14日に上司からチョコレートを貰ってしまった。あげてないのにお返しに当たるものをもらっちゃうのはちょっとヤバいと思ったので、去年から直接の上司にあたる人と、お世話になる方にだけ贈ることにしていた。

 しかし、何を贈れば迷惑じゃないだろうか、と思うととても迷う。チョコレート。チョコレートを大量にもらうのって、社会人になってしまったら嬉しいとかじゃなくもう、迷惑でしかないんじゃないか。以下が思いついた迷惑であろうポイントである。

①お返しをしなくてはならない

 どう考えても面倒くさい。返し漏れがあったら信用に関わる。

②チョコレートは日持ちしない

 持っておおむね1ヶ月程度ではないか。1ヶ月間に大量にチョコレートや甘いものを食べたらうんざりするだろう。わたしなら御免である

③チョコレートは溶ける

 いくら冬とはいえ職場内には暖房が効いている。溶けないか不安である。

④邪魔

 仕事後に予定があった場合、荷物がかさばり邪魔になる。

以上、一学生が精一杯考えたバレンタインデー面倒くさいポイントである。ただ何か他の気の利いたものなんかは思い浮かばないので、今年もチョコを買った。無難が一番である。

 

 学校終わりに重い荷物を抱えて百貨店の催事場へ向かうと、そこは既に地獄の様相を呈していた。バレンタインキャンペーンである。甘ったるい匂いが漂い、チョコレートがひしめき合っていた。ピエール・マルコリーニには長蛇の列ができていた。そして大量の女がソフトクリームを食ったり、チョコレートドリンクを飲んでいた。おいしいのかもしれないけれど、こんな人の多いところで、しかも百貨店のエスカレーターの前で、わざわざソフトクリームを食べなくちゃいけない理由がわからなかった。

 人間の波に揉まれ、嫌な汗をかき、大量のチョコレートを眺めているとだんだん具合が悪くなっていくのを感じた。ちいさなチョコの箱を数個ひっつかんでレジへ向かうと、そこにまた列ができていた。なんでこんな思いをしてチョコレートを買うんだろう。貰った相手は迷惑に思うだけだろうに、なんでこんな習慣があるんだろう。

 

 というかわざわざ激混みが確定している百貨店の催事場へ行く必要が全くない。わかっているのに毎年行ってしまうのは頭が悪いからだ。

 精神的ダメージが大きかったので、地下階で穴子のにぎり寿司を買ってしまった。対馬沖のあなごのにぎり寿司である。めちゃくちゃおいしかった。

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