瞼の裏の透明な戦争

 親譲りのド近眼。中学へ上がる前からメガネを着用していて、男子につけられたアダ名は「メガネザル」。十余年で視力はどんどん下がり、今では立派な瓶底メガネを愛用している。

 コンタクトは、よほどの用事がなければつけない。運動をするとき。美容院へ行くとき。ごついメガネが似合わないよう服を着るとき。気合を入れるとき。

 今日は、美容院へ行ったのでコンタクトをつけた。目に入れた瞬間から違和感が襲う。視界もはっきりしない。どんなに嫌でも美容院へはコンタクトで行く。カット中の暇つぶしを裸眼で過ごすのは大変な苦行だ。

 美容院へ行くと、暇つぶしに雑誌を貸してもらえる。arを出されることが多い。arというのは20代女性向けのファッション・ビューティー雑誌で、おフェロだの雌ガールだのという香ばしいキャッチコピーが特徴である。わたしは20代女性なのであーこういうのが読むべき雑誌なのかと思う。思いつつも読むのは結局グルメ本だ。

 帰ってきて夜ご飯を食べてから、作りおきのミートソースでも作るかと玉ねぎを切ったら、全然涙が出てこなくてびっくりした。いつも玉ねぎを切ると目から鼻からいろんな汁が出てきて、何も手につかなくなるのだ。目が痛すぎて玉ねぎのみじん切りができず、そのためにフードプロセッサーを買ったくらいで、コンタクトをつけたくらいでこうも違うのかと衝撃的だった。これからは玉ねぎ用のコンタクトを買うことにする。

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